エムズテック株式会社


代表取締役社長 益子 静司

SEIJI MASHIKO

私は、以前の会社勤めでリサイクル物の回収経験を経て、2013年3月に独立し「エムズテック株式会社」を設立いたしました。過去の経験を活かし、エムズテック株式会社では、特に希少価値の高い「レアメタル・レアアースのリサイクル」を主要事業としております。

レアメタルは、主にPCや携帯電話の内部回路に使われており、枯渇性の資源でありますが、製品としてリユース及びリサイクルを行うためには、細かな部品を分解し、不純物を選別し、その中から製品となるものだけを取り出す、地道で時間の掛かる作業を必要としています。それゆえに、自動選別や取り出しといった、自動化が難しい分野であるのが特徴です。

ここをあえて、人手による分解・分別をする事業にすることで、差別化を図り、弊社の強みを最大限に活かした取り組みを行うことができています。

リサイクル事業と障がい者雇用の両立の事業

リサイクル事業起業の際、ある方から紹介を受け、岐阜で事業を営むF氏と出逢いました。

すでに障がい者雇用事業に取り組まれていたF氏の事業モデルを参考にさせていただきながら「リサイクル事業と障がい者雇用の両立の事業形態」を進めることとなります。

しかし、リサイクル分野は経験があったものの、障がい者雇用に関しては、ゼロからのスタート。当初は、関係団体や関連企業と連絡を取りながら、徹底的に調査をして一から勉強をし、少しずつ人脈も広がり、人のつながりが作ることができ、なんとか事業を軌道に乗せることができました。

継続的に仕事を提供しお互いに発展ができる仕組み作り

決して私一人の力でここまでやってこれたわけではありません。

私を周りで支えてくれた方たちはもちろん、障がいや難病のある方々が、部品加工や分解作業の単純作業をコツコツと真面目に取り組んでくださり事業を支えていただけたことで一緒に成長することができたと言えます。

きちんとした仕事(需要)を作り、働き手(供給)をセットで提供することで、働きたくても働き口が限られる障がいのある方々に、継続的に仕事を提供し、お互いに発展ができる仕組み作りを並行して行いながら事業を成長させる必要があると考えました。

「エムズウェル株式会社」の就労継続支援A型事業所をスタート

そして2017年1月より、グループ企業「エムズウェル株式会社」の就労継続支援A型事業所をスタートしました。

当初は、障がいの特徴により、それぞれ可能な仕事レベルの見極めや教育に苦労しながらも、仕事内容を細分化し、できるレベルや加工するための治具を試行錯誤で作り上げていきました。

また、職場環境にも温湿度・勤務時間等、細心の注意を払いながら、多くの障がい者が、明るく活き活きと活躍できる職場作りを心掛けました。

さらに、仕事をする上では健常者も障がい者も、人と人として接するために「お客様への挨拶」や「仕事上でのマナーやルールを守ること」の教育には時間を割いています。

教育する上での苦労やレベルを見極める苦労も

一概に障がい者といっても、障がいのレベルや個人の性格差もあり、仕事を教えていくということにとても苦労しました。
例えば同じ障がい者の方でも接し方が異なるケースがあります。

ある方には、夢を語り、未来を語り、安心を語りながら寄り添う。また違う方には、一つの言葉尻でショックを受けたり、不安に陥りやすいので、夢や将来を語るのではなく、目の前の現実を伝えながら問題解決を促していくというような事に心掛けています。

これは、一見特別なことに見えますが、現在社会の中での画一化した教育制度の中にもいえることではないでしょうか。

まずは事業の地である太田市でしっかりとした基盤事業を

おかげ様でリサイクル事業自体は順調に進んでいるとはいえ、変革の時期に突入しつつあります。

このレアメタル・レアアースの世界も、海外の需要が大きい分野ではあったものの、リサイクル需要よりも製品的な開発が進み、新興国の格安モデルの台頭で、ビジネス的には厳しい舵取りを余儀なくされる事業となってきた事も事実です。

弊社の強みは、人手での作業に頼っているため、自動化が進みにくい事業であることを逆手に取り、この部分にエムズウェル株式会社の就労継続支援A型事業所で培ったノウハウを活かし、様々な企業さまの困りごとに寄り添っていけることです。

そう考えると、この分野はまだまだ開拓の余地があります。

エムズウェルの事業を活用し、エムズテックとエムズウェルお互いの強みを活かしてこのモデルを国内に展開して行きたいと思います。

そのためにも先ずは、事業の地である太田市でしっかりとした基盤事業を作りながら、多くの企業さまの事業発展のお手伝いをしていければ幸いです。

エムズテック株式会社
代表取締役社長 益子 静司